二人暮らしではない💢
そう、今僕は一人暮らしをしている。
前に二人暮らしをすると言っていたけど、結局一人ですることになったのである。
理由は簡単、永福(仮名)くんが、
「お金ない」
って言うからである。
今までの二人暮らしする計画を話した時間は何だったのかは考えないことにしてる。
一回二人で暮らすところを決めるところまで行ったのは行ったのである。
一軒家の二階建てのアパートで結構ボロいのだが学生が暮らすところとしては身分相応だろうということでそこにしたのである。
そしていざ契約書を書こうかという日の前日。
永福(仮名)くんが「会おう」というのでなんとなく嫌な予感(前からお金がないことは言っていた)を持ちながら集合場所の難波に向かった。
飯が食いたいということで松屋に入り、話をした。今となっては内容は覚えていないんだけど、
「お金がない」
「一日一食でスーパーの安くて細いうどん食わなあかん」
と言っていたのは覚えている。そしてついには
「別に実家からでも行ける」
なんて言い出したのである。それは俺でも言えるわ
僕としても毎日ほっそいうどんしか食べずに日に日に弱っていく永福(仮名)くんを見るのも嫌だし、そもそも本人がする必要がないと言っている人に下宿を付き合わせてお金も栄養も奪うわけにはいかないので、その日はどう不動産の人に説明するか永福(仮名)くんが考えておくという話で終わったのであった。
日にちを決めて不動産屋に行き席に座ると、担当の人が書類を準備し始めたのでそこからは永福(仮名)くんのターンである。自分のバイトがブラックバイトでお金が入ってこないので下宿は難しいという事情(ホントかどうかは本人のみぞ知る)を話し始めると、なんと担当の人の顔が赤くなり始めているではないか。
「ちんちんみたいだな」
なんて思ってはいないけどどうやらただ事じゃないと思ったほかの担当の人も立ち聞きし始め、はたしてこの言い分が通るのかと心配になり始めた。
担当の人は赤さは維持しながら、なんとかして住めないか、と月々にかかる費用を概算したりしてなんとかして契約を成立させようとしたが、決めたことには全く動じない永福(仮名)くんである。「厳しい」の一点張りであった。
そして担当の人がこう言った。
「ちゃんとしたところで働かなあかんで!!!」
どうやら永福(仮名)くんの勝ちのようである。
何とかして家主さんに取り合ってみると言ってとりあえず僕の一人暮らし用の物件を探すことにしたのである(とりあえず担当の人にはとても迷惑をかけて申し訳ありませんでした)。
勧められた物件を一つ一つ回っていったのだが、トイレとバスルームの異常なコントラスト(トイレは今風、風呂場が昭和初期)の物件、トイレと浴室の扉が外からカギをかけられる(つまり外から閉じ込められる)物件などロクな物件がなかったため、その日は決まらずであった。
後日SUUMOで物件を探していると、一つの物件が目に入ったのだ。
駅から2分でワンルームなのだが、3セパ(トイレ、洗面台、浴室が別)、コンロ付き、30m²以上の面積、とかなり条件がいいのである。
見学予約を入れてその物件を担当の人と見に行ったのだが、なかなかいい物件である。
ここにしようと決めかけてベランダを開けた瞬間、その決意は揺らいだ。
鳩のうんこの海なのである。
担当の人に聞くと、この物件はもともと鳩で困っている物件らしく家主もどうしたらいいか頭を悩ませているらしい。
いやネットとか貼り付けたらいいやんとは思ったが、他の条件は完璧なのである。スタイルが良くて性格もよくて美人で可愛い女の子だけど一つだけ欠点があって身体中に鳩のうんこがついている女の子だったらあなたは付き合いますか?
不動産屋に戻ってどうするかを聞かれたのでいろんな人に話を聞いてから決めることにした。
だいたいは鳩対策したら大丈夫やろ、と言ってくれたが一人だけ「やめとけ」と言った人がいた。
そう、兄である。
鳩の被害に悩んで引っ越しした人を知っているとのことで絶対にやめとけということであった。住むなら自己責任だと言われたので、自分に対する責任感は皆無に近い僕である、その物件にすることにした。
不思議なのだが、鳩対策として針をつけてもらうという条件は付けてもらったのだが、ネットは無理だったのだ。下の階の人の協力がいるのだが得られなかったとのことである。
3階は鳩がわんさかとまっているからもっと被害がひどいはずなのにどうしてなのだろうと思う。おそらく下の階の人はなにか訳がありそうである。
というわけで住む場所が決まったのである。
しかしこの後が大変なのであった。
借りたのはいいのだが借りるにあたっての準備は全くしていなかったので結局借りて住まないまま1カ月が経ち、1カ月分家賃を無駄に払ってしまった。
ただこんなことをしていると全部自分のお金でやっているので自分の懐が大変なことになるのだ。重い腰をあげて準備を始めることにした。
とりあえず全部自分のお金でやらないといけないので家電は安く抑えないといけないのだ。
兄貴いわく、リサイクルショップで洗濯機と冷蔵庫と電子レンジ全部合わせて2万円で抑えたと言っていたのでそれを目安にそろえていくことにした
が。
リサイクルショップを見ても意外とその値段になる組み合わせがないのである。
あともう一つ問題があるのである。家の入口の幅が小さいので洗濯機が入らない可能性が出てきたのである。値段よりも幅を気にして選ぶとなかなかこれが見つからないのだ。
早くも詰まったと思ったら一つのサイトが目に入った。
いらなくなった家電を安く譲ってくれたりタダで譲ってくれる人が商品を載せている、いわば便利な掲示板みたいなものである。
動物を載せているのはいかがなものとは思うけども。
商品一覧を見ていると洗濯機は見つからなかったが冷蔵庫が8000円で、テレビが40インチ30000円で見つかったのである。学生にしてはなかなかいい買い物だと思わないかい?
とりあえず値段交渉をしてテレビをテレビ台を付けて28000円まで下げてもらい、会う日時を決めて交渉完了である。
運ぶには車がいるのだが友達に頼むとレンタカーを借りるのにも時間がかかるとのことなのでたまたま暇していた(実際は仕事がないみたいなのでいつも暇である)父親に車を出してもらい行くことにした。
しかしこれが大きな間違いだった。
どうせ運ぶんだったら家の本棚を持っていけと言うのでベニヤの2メートルくらいの本棚を後ろに積んだのだが、荷台からはみ出るのである。ゴムで縛ってはいるのだが結構ギリギリなのだ。こうしたほうがちゃんと載せられるよ、と言うとこっちのほうがええんやアホと全く人の話を聞かないのであきらめて乗ることにした。
しばらく走って高架道路を走っている途中である。
パァアアアアアアアン
後ろでゴムがはじける音がしたのだ。
あれ?嫌な予感がするぞ・・・
後ろを見るとものすごい勢いで回転しながら落下している20年付き合った本棚が。
後ろに車が一台もいなかったのが不幸中の幸いである。ただ落物渋滞は避けられないだろう。
「しゃあないやろ!!うぁ~~~っはっはっはぁ~~~~!!」
という父親がいた。
一歩間違えたらポリボックスであった。
悔いても仕方ないのでとりあえず冷蔵庫をまず取りに行った。
待ち合わせ場所に行くと冷蔵庫を持って待っている人がいたのでお金を渡して冷蔵庫を積むときである。
「なんでこんなもん買うねん!!」
という父親がいた。
交渉している人がいる前でこんなことを言い出すのでとりあえず黙らせて冷蔵庫を後ろに乗せていち早くその場を去った。
次はテレビをもらいに行った。相手は中国人の留学生で、テレビを運ぶときに
「コレ10万ダタ。モノスゴイオトクデショ」
とテンション高めで言っていたのでそうですねハハハと我ながらいい買い物をしたと思い、車の後ろに載せようとしたときである。
父親が荷台の前を退かないと思ったら
「これコイツに返せ」
と言い出したのである。
「え?」
「返せって言ってんねん!!こんなゴミ1000円でいくらでも買えるわ!!お前もこんなゴミ売るな!!」
なんだコイツとんでもないことを言い出したぞ。
俺は契約した人とのやり取りには手を出すなと言ったはずだが(言わずとも第三者は他人の契約に口を出すべきではないと思うけども)俺の父親の前ではそんなことは関係ない。
どれだけ説得しても車に載せる気を一切見せないどころか相手の人にも暴言を吐き始めたのでのでついに折れた。断ることにしたのである。僕と留学生はとぼとぼと部屋まで戻しに行ったのである。
それで帰すわけにはいかないので謝罪の意味で1000円札を握らせてその場を去ったのである。
もちろん車の中で大喧嘩である。
50年以上生きた人からしたら学生のする買い物なんて下手かもしれない。自分ではいい買い物をしたとは思うけど実はガラクタな買い物をしたのかもしれない。
でもいくら何でもそれを契約者の前で言うことはないだろう。
俺の契約を勝手に台無しにしたんだから俺は一銭もお金を出さないからお前が代わりにテレビを買え、と言ってやった。
4Kのテレビが手に入りました。
まぁ、結局これでよかったんじゃないかな
でもハイビジョンとの画質の違いがわからないから意味ないと思うんだけどね。
学生には(俺には)身分が高すぎたんじゃないかな。