SASHUをたおせ!!
shikoshikodopyu.hatenablog.com
下宿を始めてはや3カ月近く経っている。
始めは冷蔵庫とテレビと洗濯機と布団しかなくてやることがテレビ見ることくらいしかなかったんだけど今は机、こたつ、ネットとだんだん揃ってきたのでようやく一人暮らしが始まったという感じである。
うちの階は最上階のせいか家に帰ってきたときには異常な暑さになっているので遮熱カーテンを買ったんだけどまったくと言っていいほど効果がないのであきらめた。ペットでも飼おうというもんなら一日で死んでしまうのだ。
生活用品がだんだん揃ってくると町のほうにも目を向ける余裕ができてくるのである。
うちのまわりは猫が夜になるとわんさか集まってくるのである。その中でも一匹だけ毎晩現れる猫というのがいて、前は23時になったら現れるから23時って呼んでいたんだけど最近は夜になったら出てくるようになったので「よる」と呼んでいる。最近は普通に昼も現れるけれどもう「よる」で統一している。
ひるの「よる」である
夜になったら現れては俺の住んでいるところを見上げているのでなにかあるのかなと思っていたんだけど、上を見ても何もないのである。動物も不思議な行動をとるんだな~と気になっていたのである。探偵ナイトスクープとかに投稿したらいいネタになりそうだなとも思っていたくらいだ。
ある日の夜である。
ベランダに出て下を覗くといつものようにこちらを見上げている「よる」がいた。今日もいるなと思って何を見ているんだろうとしばらく見ていたところである。
何かが道路に飛んできているのである。
ん?ん?と思い、しばらく様子を見ていると「よる」が飛んできたものを避けて近づいて匂いを嗅いだ後、食べているのである。
そうか、飛んできた何かというのは餌なのか。だとしてもどこから飛んできたんだ?
離れたところから投げているのかと思って道路を見るが人影はないのである。なんだどっかに定時になったら餌をあげる機械でもあるのかとそのときである。
下の美容室の扉が開いたと思ったら、次から次へと食べ物が投げ込まれているのである。
投げ込まれた餌は道路、駐車場に散乱し、全てを投げ終わった後美容室の窓は閉まった。そして野良猫たちは立食パーティーを始めたのである。
とりあえずベランダの扉を閉めて、俺はしばらく考えた誰もいない部屋の中で一人叫んだ。
「全部つながったぞ!!!!!」
ここら辺一帯に野良猫が定時になると集まりだす理由、「よる」がうちの建物の上のほうをずっと見ている理由、うちの玄関の前に「エサを置かないでください!」と3枚も貼ってある理由、自転車にツナがべっとりついていた理由、ハトがうちの建物に住みついている理由。
そして総合して一つわかったこと。
動物は正直なのだ。
わけもなく上を見てたり時間になると駐車場に集まったりしないのだ。「エサが2階から決まった時間に降ってくる」ということを知っているからの行動なのである。
しかし謎が解決しただけでは済まない。また新たな謎が出てくるのである。
どんな臭い面しているんだ2階からエサ投げて道路のみならず人の自転車や車を汚しているクソ野郎は
おそらく今までにも(そして今も)餌をあげて建物内を汚したことがあるという過去から常習的に家主を困らせている人物には違いない。とはいえ2階の美容室は普段営業していないときは(ほとんど営業していないけど)閉め切っているし店の中で生活しているとも考えにくいし。
そんなことを考えている時、郵便物に銀行からのものがあった。
宛先は俺じゃなくて前の住人らしく、じゃあ誰も見ないか、と思って開けてみたら、
「・・・・先般から滞った返済金のお支払いについてご連絡しておりますが、いまだお支払いがなく、現在元金20万円に対して18万円が未納となっております。このまま延滞が長期化しますと、・・・・・」
なんだなんだ見てはいけないものなんじゃないのかコレは
ハトのうんこやエサやりキチガイだけでなく前住んでいた人にも訳があるのかよ。どうりでいい立地にもかかわらず6万円で済んでいるのか。
早くも後悔の念が立ち始めたのである。しかし悔やんだところで遅いしそんなに不便していないのでいいかと思っている。
しかし2階のエサやりハサミ野郎に餌を投げるなとケチ付けたところで証拠がないと意味がないのである。夜に窓からエサを投げているところを動画に収めたのだがどうも映りが悪いのである。今度は思い切って地上から撮ってみることにしたのである。
7時ぐらいに下を覗くと「よる」がいるのでそろそろエサやりハサミ野郎がエサを放り投げる時間だなと思い下に降りてエサ投げタイムを待っていた。2、30分待ったところで2階の美容室のカーテンが開きエサやりハサミ野郎のシェルエットが見え、カメラを構えた時である。
「よる」が2階に向かってすんごい大きな声で鳴いたのである。
あまりに大きい鳴き声だったのと2階のほうをモロに向いていたので周りの通行人がそれに気づいて「よる」のほうを見たためエサやりハサミ野郎が感づいてしまい、カーテンが閉まってしまったのである。
予想外の出来事が起こってしまったのでまた待つしかないか、と思いしばらく待っていたとき、誰かが話しかけてきた。
「4階のお兄さんじゃないの」
そう、エサやりハサミ野郎である。いつの間にか後ろに立っていたのである。
ちょっとビビっていると、続けてエサやりハサミ野郎がニヤリと笑いながらこう言った。
「郵便屋さん・・・・来てたよ・・・・・(ニコッ)」
そう言って商店街のほうに消えていった。
情けなくビビってしまったのとなかなかゾッとする笑い方だったのでその日は中止にしたのである。
その数日後の昼である。
玄関を出て角を曲がろうとしたとき、エサやりハサミ野郎とばったり会った。
気づいてしまったからには無視するわけにはいかないので適当に挨拶だけで済ませようと思ったら喋りかけてきたのである。早く実家に帰りたいのにとは思っていたが聞くことにした。
するとエサやりハサミ野郎がこんなことを言い出した。
「あんたの所に刑事さん来てたよ~!!○○さんいませんか?って!!」
なにを言い出すんだコイツは
刑事が来たといわれて思い当たる節が何個かあるのが悔しいけど
悪いことは別にしてないけどひょっとしたら自分でも知らないうちにヤバいことをしてしまったかもしれないと思い、「何か言ってましたか?」と聞くとあやふやにされたので「ん?」とは思ったが気にしないことにした。
しかし次から次からエサやりハサミ野郎は変なことを言い出すのである。
「午前3時にね、スマホ忘れたから取りに店に戻ったらね、チェーンソ持っている怪しい人がいたのよ!!!だからすんごいびっくりして警察に通報したの!!今週の水曜日警察来てたのよ!!あんた気づかなかった!!??」
ここで疑問が浮かんだ。
家に取りに帰った?????
このオッサンは店に住んでいるはずだ。じゃないと夜に窓からエサが飛んでくるわけがない。もう一つ疑問があるとすればそんな怪しい奴がいれば、また警察が来たんだったら何らかの騒ぎがあるはずだがそんなものが全くなかったということだ。そして俺はその日午前3時に野良猫探しに外に行っていたのでそんなことはなかったと断言できる。
もう一つ確かな疑問があるのは
「刑事が実家よりも先に俺の下宿先に来ることがあるのか?」
少なくとも刑事が下宿先に来る前に実家に立ち寄り、親族に話をするはずである。なのに刑事が来たということを親が知らない、つまり親にも誰にも知らせずに直接俺の下宿先に来るなんていうことがあるのか?
野良猫探しに元町商店街何回もうろちょろしたのが監視カメラに映っていて不審者に見られたんだったらわかるけどそれくらいだったらお巡りさん程度で済むはずである。
ひょっとしたらコイツは人の気を引くために嘘をついているんじゃあないのか?
新手のミュンヒハウゼン症候群かもしれない。
それよりも衝撃的な事実があった。
俺の前に住んでいた奴がエサやりホラ吹きハサミ野郎だったということだ。
これに関しては俺とハトやりホラ吹きエサ野郎の認識が一致したので本当だと分かった。
さっきも書いたようにうちの階はクーラーをつけないと異常に暑くなってしまうのと、ハトがうるさいのである。
「ハトがうるさい?」と思う方がいるかもしれないが、あいつらのセックスはむちゃくちゃうるさいのである。10時くらいになると、
「ほぉ~~~~・・・・
ほぉ~~~~~~~~・・・・
ほぉ===========================!!!!!」
とすんごい喘ぎだすのである。
おかげで毎日目覚めも気分も悪い。授業に行く時間に起こしてくれるのでありがたいけど
ちなみにハト除けの針を設置してもらったのはいいが、それを超えて針のないところで羽休めしているので全く効果はない。ハトの掃除で1時間は今も変わっていないのである。
でしょ?
ここでもう一つ怒りが沸いた。
てめぇ俺のところにハト来るのわかってて2階からエサやってるのかよこのトンチキ
コイツは猫だけでなく、動物全般にエサをやっているのである。つまりハトだけにエサをやっているときもあるのだ。
コイツの玄関のポストにハトでも突っ込んでやりたい気分である。
また、前住んでいた人がコイツというのだったら借金を滞納している奴もコイツだということである。カット屋さん人来てないんだからさっさと夜逃げなりなんなりしたほうがいいと思うんだけどね。
駐車場の主さんへ。
2階のエサやりホラ吹きハサミ野郎を訴えるときは僕は証拠提出など全面協力しますのでもし抵抗でもしようものなら是非お声かけください。
余談
「よる」と会って1カ月の時は玄関で寝転がってたのでどかそうと触ると猫パンチされて手から血が出たこともあったが、俺が近づいたら鳴きだすところから今は俺を見るとついてくるようになった。
ある日エサやりババアが「よる」を撫でているのを見て俺もいけるんじゃないかと次の日近寄ってきたところを撫でてやると、熱烈なマーキングをいただいたのである。
生まれて初めて猫を触ったので1時間近く飽きずに撫でていた。
満足して家に戻ると腕にパンパンのジンマシンが出始め、くしゃみが止まらなくなったのである。
そう、哀しいかな、
猫アレルギーだったのである