おかわり、渋谷・道頓堀劇場
10時にチェックアウトなのに10時に起きてしまい延滞料金を払って目的地を目指す。
中山競馬場の前にもう一つ行く場所があって、「かきぬま」という全自動雀卓を販売しているところへ向かった。
住宅街の一角にその店はあった。
半分しまっているシャッターの奥におっちゃんの姿が見えたのでごめんくださいと言って入店。
「全自動雀卓を買いに来たんですけど」
「そうですか。予算はどれくらいでしょうか」
「お金は持ってないです」
そう、お金は持ってなかったのである。
なのにどうして買いに来たのかというと弥生賞で一発当てたときを想定して見に来たのだ。
僕の悪い皮算用癖が出てしまったのである。
全自動雀卓の下見をしに東京に来たというのもあったのだが、それを部活で言うと部活の先輩に「安い雀荘で遊んだほうが安くない?」と言われたが、僕は伝家の宝刀を抜いた。
今は永福(仮名)くんが二人暮らしをあきらめたことを考えると余計なお金を使わずに済んだと思っている。
そもそも打つための人数分の友達を大学で作らなきゃいけない(現時点で僕の友達は二人)のと作った友達に麻雀を覚えさせる労力全部加味して買わないほうがいいという結論に至っている。マットが一番なのだ。
話を戻そう、僕がお金がないと言うと、
「じゃあこれこれの雀卓が安いしスペースも取りませんよ」
と次から次へと買いもしない客に対して親切にご説明してくれたのである。
その店員と名刺とお礼を交換して僕は早々と店を去っていったのである。
もう用事が済んだということでいざ船橋法典へ。
有馬記念の時の人の多さと比べて屁以下の人数だったので、スムーズに馬券売り場まで行けた。
前の記事でも言ったように「エアスピネル」「マカヒキ」「リオンディーズ」号の三頭の三連複を一点大量賭けする予定で、緑のマークシートを取りその番号を書き始めたときである。
ある人が僕の頭の中に出てきてこう言ったのである。
「おい、そんな簡単に三頭決まるわけないやろ。俺の経験ではそんなことは一回もなかったぞ」
たしかにこの三頭は強いが、馬券的には面白くないのである。
4番人気のオッズは20倍を超えているくらいでこの三頭に人気が集中しているためこの三頭が絡んだ馬券のオッズは、
リオンディーズ 1.9 マカヒキ 2.6 エアスピネル 4.2
三連複 4-10-11 1.9(!)
と安すぎるのである。
こういう人気集中が起こったときはあえて他の馬を絡ませた馬券を買うと、当たった場合配当が大きくなるのである。
さっきの天からか地獄からか西田辺からの声が言っていたことも含め、そう、ここでもまた僕の悪い癖の捕らぬ狸のナンタラが出てきてしまったのである。
全自動雀卓が買えるお金が返ってくる配当の馬券のみを買ったのである。
念入りに馬券を検討していざ競馬場のゴール板前へ。
しばらくしていると真っ白いお馬さんが赤いお姉さんを乗せてパカパカやってきた。
返し馬を見ながら一抹の不安が。
「上位三頭しか考えられないんだけど・・・」
朝日杯でエアスピネルが強いけどリオンディーズがもっと強い、マカヒキは素晴らしい末脚を持っている、と考えると残りの馬は明らかに見劣りするのだ。
しかし天、いや地獄、いやはや西田辺からの声が言うのである。おそらく大丈夫であろう。
そしてレースが始まった。
今回の弥生賞は朝日杯で3着を大きく離しての2着のエアスピネル、2歳王者リオンディーズ、そして若駒ステークスで強烈な末脚を見せたマカヒキという豪華なメンバーがそろいこの3頭のどれが勝つかに期待が集まってたが、やはりレースはこの三頭の独壇場であった。
リオンディーズはやや出負けし少し掛かってしまっていて前の流れに乗っていく形で離れた好位につき、マカヒキは出負けして最後方からの競馬になる。エアスピネルと武豊は掛かり気味になりながらもコントロールする競馬で、それでも極端には下げずに掛かって前にいったM・デムーロとリオンディーズを行かせて直後につけるという理想的なポジショを無理なくかつ下げ過ぎないようにして無駄なく取る。
向こう正面で前がバテて緩み始め、先行したリオンディーズとM・デムーロはブレーキしながらも前との差を詰める形で3コーナー手前に入る。エアスピネルと武豊は、M・デムーロが前が詰まって仕掛けに苦労しているところで慎重に仕掛けていき4コーナー出口に差し掛かり、リオンディーズとエアスピネルが抜け出した。朝日杯の再戦が始まると思いきや、もう一頭の刺客、そう、マカヒキも抜け出していた。
直線での激しい叩き合いが始まるが、3,4コーナーで緩い流れになったことにより後ろで足を溜めていたマカヒキが末脚を爆発させ、エアスピネルとリオンディーズの二頭を呑み込んでの勝利となった。
父親、ディープインパクトを彷彿させる強烈な末脚を発揮して朝日杯1,2着の二頭をねじ伏せての勝利。偉大なる父を越える戦いがここから始まるのである。
(玉岡宏)
レースが終わった直後、電話が鳴った。
出ると永福(仮名)くんである。
「おい!!お前取ったんちゃうか!!!」
・・・・・・・・・・・・
さっき馬券場で聞こえた声だ
さっき聞こえた声は天からでも地獄からでもなく、西田辺からの声だったのだ。
自分を信じるべきだったと後悔した。負けても後悔しない馬券を買うことが大事だと思った。
もちろん激安配当である。
もちろん勝てたはずのレースを落とした僕の判断力はないに等しかった。次の12レースで負けを取り返すために馬連を一点一万円賭けたのだが、見事に外したのである。
力なく中山競馬場のオケラ街道をとぼとぼと歩いて帰るのであった。
その日の夜は淫乱寺の和尚さんと一生級長(仮名)と会う約束をしていたのでまた渋谷に行った。
昨日と同じくタバコのマナー活動しているおっちゃんがいたのでその前で待っていると昨日よりももっと臭く見える面がやってきた。
和尚が来るまで二人で飲んで、和尚が来てしばらくして飲み屋を抜けた。
どちらもお金を持っていなかったのでここでも僕がお金を払ったのである。
なのに気分の良くなった二人は俺のお金でピンサロに行こうとし始めたので、何とか説得して別のところに行くことになった。
「道頓堀劇場」
そう、ストリップである。
もちろん入場料は僕もちである。
昨日は最後の人しか見ることができなかったが、今回は最後から三人前のストリップ嬢を見ることができた。
しかしそのストリップ嬢が終わると一生級長(仮名)が用事があるから帰ると言い出したのである。
30分しか入場しないのになんで払わせたんだと言おうとしたら自分一人で写真の列に並んでいたのである。自分の写真代だけはちゃんと持っていたのである。地下鉄の床拭いた後の雑巾以上に汚いやつである。
結局一生級長(仮名)が帰った後和尚と二人でストリップを楽しんだのだった。
しかし僕も夜行バスの時間が近かったので昨日の最後から二番目のストリップ嬢と写真を撮って帰ることにした。
「彼女に見られたらダメだよ~」
カウンターで撮った写真を現像してもらい、急いで新宿のバスターミナルまで行き、ここで和尚と別れた。
それにしても中山まで来て当たったことがない。
P.S
たしかこのとき東京で5万円使った気がする。
まぁGⅡにしてはなかなかいいレースが見れたしいっか。