シコシコBlog

ぼくのせいちょうきろく

Vespaを買った

4か月前の話になる。

 

以前、ベスパを買うために新聞配達を始めたのはいいんだけど、ヘンにお金が貯まると余計なところでお金を使うようになってしまうので、全然金が貯まらないまま時間だけが経ってしまった。

このままじゃイカン、と思っていたのだが、うれしい誤算があった。原付事故の時の保険金が入ったのである。総額100万近く急に貯まったのである。

お金が準備できれば、後は買うだけである。さあ、どのベスパにしようかと探していると、一つのベスパが目に入った。

 

 

 

PX200

 

 

 

である。

ベスパのP/PXシリーズでも結構古めのやつである。2ストで排気ガスが汚いので、もう今は生産されていないやつである。その中でも僕は「PX200E」という車種を買うことにした。

 

このPX200Eは前後ブレーキどちらもドラム式ということもあって(ベスパは古いものはほとんどドラムブレーキ)前ブレーキがあまり利かないことが言われて、「それって結構マズくないか?」と思っていたのだが、基本ベスパはリアブレーキをメインに使うもんだと書いてあったので、じゃあいいか、とこのバイクを買うことにしたのである。

 

32万・・・たけぇ・・・

 

でも一生乗るもんだと考えれば安いか、と思い、店に行った。

 

 

 

 

「このベスパはウチんとこで売っていたものでね、ここで買ったお客さんが売りに来て戻ってきた一台がこれなんですよ」

 

「30000キロも乗っている割には外観はかなりいい状態だと思うんですが」

 

「大切に乗られてきたということですよ、お客さん」

 

 

 

結構古いタイプの乗り物にしては結構きれいなのである。モノを買うときに興奮したのは初めてである。外に出てエンジンをかけてみましょうと、外にベスパを持っていき、店主が何回かキックペダルを踏むと、エンジンがかかった。

 

ルルルガガタンブルルルルガタタン

 

 

スクーターの外観をしていながらなかなかのうるさい音と排気ガスを出してそのバイクは騒いでいるのである。ドンガラドンガラ

 

 

 

「ちょっとうるさいので切りますね」

 

「こんなにやかましいものなんですか?」

 

「ベスパはそういうものです。エンジンには2種類あって、燃料を燃やす工程が4段階の4スト、2段階の2ストに分けられます。普通のバイクは4ストで、このバイクは2ストで、2ストのほうがエンジンの回転数が2倍です。もちろん回転数がすごいので音も必然的にうるさくなります。あと2ストはガソリンが不完全燃焼したまま排出されるので排気ガスも少し汚いわけです。なので排ガス規制の厳しくなった今もう現地ではこのバイクは製造されていません。また今新車で売っているPX(EURO3)でも200ccは存在しません。さすがに200ccとなると排ガス規制に合わせることはできないみたいです。でも2ストだからと言って悪いことばかりではありません。4ストと比べて回転数が違うので、単純にパワーも倍違います。なので2ストで200ccは4ストで400ccと同じくらいのパワーがあるわけです。実際は1.5倍くらいだけなんですけどね。」

 

(え?じゃあ倍じゃ無くね?)

 

 

 

「なるほど・・・」

 

 

 

これだな・・・・

ほぼ二つ返事で買いますと言い、購入契約を結んで1か月後にまた来ます、と言って店を後にした。

 

なぜ1か月後なのかというと、200ccのバイクに乗るための免許、「普通二輪免許」を持っていないからである。そう、この馬鹿は免許も持っていないのにバイクを買ったのである。

その1カ月の間にそいつは免許を取るつもりなのである。

もちろん、飛び込みで。

 

でも僕も全くの無計画だったわけではない。この来たる再び一発試験を受ける日のために、バイクに乗るときはいつも技能試験でやっていたことをそのまま公道で実践していたのである。だから安全確認、左折時の巻き込み確認、左折、右折前の車体寄せなどに関しては絶対的な自信をもっていた。その自信のまま、どうせ後で取るんだったら今のうち取っちゃえということで、受ける試験を大型二輪にしたのである。

 

そのつもりだったのだが。

 

技能試験のちょっと前に届出教習所で練習してみたのだが、思っていたより取り回しに苦労し、何回もバイクを倒してしまったので、急遽計画変更、普通二輪試験を受けることにしたのである。実質普通二輪車に乗るのは初めての状態で試験に挑んだのである。

以前受けた小型二輪の飛び込み試験の時になかった「スラローム」が試験内容に追加されていて、それがクリアできるかどうかが一番の不安点だったのである。

 

案の定スラロームでエンストし、試験終了。うそーん

困ったのが門真運転免許試験所では最初の課題がスラロームなので、ここでミスってしまうとほかの課題を自分はどれぐらいできるのかがわからないままになってしまうのである。

その次の週も受けたのだが、クランクに行く前に終了。スラローム一本橋のタイムが良くなかったため大幅に減点されてアウトだったのだ。

その次の週に受からないともう受ける時間が無いので、かなりピンチの状況になってしまった。以前の小型二輪の時も次受からないと学校が始まるから受けられない絶体絶命の状況で受かったのだが、そんなラッキーがそう2回も続くことはない。前日に届出教習所で2時間練習して、試験当日。これで落ちたら、何を隠そう、無免許でベスパに乗る気満々だった。

 

順番は1発目だったのだが、最後まで完走。

試験官も、「合格でいいでしょう」とあっさり合格。

1発試験は何回合格してもうれしいものである。

限定解除をしてもらって、いざバイクショップへ。

 

 

 

ついにベスパが俺のものに・・・!!

 

 

 

一通りメンテナンスの要領、車体の説明を受けた後、試乗をすることになった。

乗ってみてまず思った。

 

 

シートたかっ

クラッチ全然つながらねぇ 

前ブレーキマジで利かねぇ 

リアブレーキ利きすぎ 

ハンドシフトむずっ 

旋回性すごッ 

てかシートたかっ

 

 

なんせ操作しずれぇ!!

しばらく練習した後、書類とキーをもらい、記念撮影してもらってめでたく僕のものである。

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撮ってもらった

 

これでお家に帰るわけなのだが、今まで乗ってきたバイクとはワケが違うのである。事故る心配しかなかったのである。

なんせハンドシフトがうまくいかない。1速と2速の間にニュートラルがあるのだが、回す加減が分からないので1速からうまく2速に行かずにエンジンの回転数だけが上がってそこから2速に入るので何回も前輪がショックで浮くのである。同じことは3速から4速の間のところにギアが入っても言える。はたから見てると前輪何回も浮かしているから「何してんだアイツ」ってなっていたに違いない。

 

でも1週間も乗っていれば慣れてきて、だんだん愛着が沸いてくるのである。

 

ぼくのPX(in メリケンパーク)

 

このバイクを見ながら、

「このバイクが壊れるときは俺が死ぬときやな」

なんて縁起のないことを思ったりした。

 

こうして長いベスパまでの道のりは終わりを告げたのであった。

よくよく考えたんだけど、32万もあればベスパよりも性能のいいバイクなんかいくらでも手に入ったんじゃないだろうか