Vespaを買う ~その前に免許をとれ~
shikoshikodopyu.hatenablog.com
※ 約6000字あります
ベスパは欲しいが、免許はない。それは問題だ。
なので免許を取ることにした。それが前回までのあらすじ。
さらなる問題はそのあとの技能試験なんだけど、おれはMT車には一度も触ったことがない(もちろん車の免許も持っていない)。
モノはやってみ、ということでとりあえず一回やってみるという気持ちで技能試験を受けることにした。このときの感じは過去にも味わったことのある懐かしい感覚である。そう、現役の時の京都大学を受験した時の気分である。
ちゃらら~~~~ん(ここでOPのテーマが入る)
時間になると警察官が入ってきて説明を始めた。受験者は、おじいさんや推定台湾人、学校をさぼってきてそうな高校生3人組など。意外と受験する人いるんだな、と思っていると担当の警察の人が来て出欠確認をとりはじめた。どうやら小型二輪MTを受験するのはあの高校生3人組のうちの一人と僕のようで、ほかの二人は何しに来たんだという話だが、こういう辺境の地の高校生はなにかと友達についていくのだろう。
出欠確認の後、警察官から試験についての説明と注意事項があったのだが、暑すぎて汗ダラダラだったので全く聞いてなかった。
なにせ試験を受ける時の服装は長袖長ズボンに手袋で、その上からひじ、ひざ、胴にプロテクターをつけるのである。ちなみに長袖長ズボン手袋で来なかったら試験を受けさせてくれない。プロテクターは貸してくれる。
あっちーな~・・・と思っている間に説明が終わり、試験の順番が発表された。僕は2番目のようだ。
ん?2番目?
初めてだから数人の受験の様子を見てから受けたいんだけど・・・
門真運転免許試験場の小型二輪のコースは大まかにいうと、
となっている。
持ち点100点スタートの減点方式で、70点を下回った瞬間に試験終了である。
試験の間に運転技術があることはほぼ前提条件として、法規走行ができているか(安全確認をしているかどうか、適切な速度で走れているか、など)を見られて、バシバシ減点されていくのである。
このお約束事に関する減点が非常に厳しいため、ここでたくさんの落第者が現れる。
一人目。おじいちゃんの番である。はじめにコースの一部を走る慣らし走行があって、それが終わった後そのまま本試験スタートである。小型には無いが、スラロームの課題を難なくクリアし、次に一本橋の課題に入った。この一本橋の課題は、幅30センチ長さ15メートルの橋を数秒以上かけて渡るやつなのだが、おじいちゃんが一本橋に乗り上がり、フラフラしながら数秒進むと、あっさり落ちた。
「残念ですが、〇〇さん、試験終了です。」
え?もう終わり?
こんなに早く終わっちゃっても心の準備できてないよ!!
おじいちゃんが試験官の元でアドバイスを受けた後、
「次の方、降りてきて始めて下さい」
と鳴った。仕方ないのでとりあえずネットに書いてあった通りに発進のための安全確認を一通り済ませた後、バイクにまたがった。
前にも書いたように僕はMTのバイクになんか一度も触ったことが無いので実質これが初のお触りである。一応動画で動かし方は確認したので理論通りにやればいけるはずと踏んでいたので、とりあえずキーをオンにしてエンジンを入れた。
MTの自動車の何が問題なのかというと、よく分からない「クラッチ操作」というのがあることである。クラッチを上手に操作しないとエンジンが止まるだとかエンジンとタイヤをつなぐだとか回転数を保つためだとかいくら本を読んでも何を言ってるのかわからないのだが、とりあえず「半クラッチ状態」、つまり左レバーを半分握っている状態にすればエンストすることは無いらしい。
そう、僕のこの技能試験の作戦は、
「永遠に左ハンドルを半分握り続ける」
である。
スピーカーから
「○○さん、試験を開始して下さい」
と鳴ったのでいざ発進である。
ガッコンッ・・・・・・プスンッ
あれ?エンジンが止まったぞ・・・?なんでだ理論通りにやっているはずだどうして止まるんだ
しかし我ながら感心したのは自分が全くと言っていいほど焦っていないということである。こういうシチュエーションの時は平静を保つといいということを長年の失敗から学んでいるのでなんということはな「○○さん、早く発進してください」と言われるとさすがに僕も焦るのである。
「すいません、やっぱ試験やめます」とは言えないのでとりあえず左レバー(クラッチ)を握ったままギアを一速にし、アクセルを回しながらクラッチを放すと、かなりの衝撃とともに動き始めたのである。
どうやらギアチェンジの際に左レバーを握っていないとエンジンが止まってしまうみたいである。
なんとか発進したのはいいもののいざ動き出すと動画で見た理論なんかどこかに行ってしまうのである。
慣らし走行とはいえ外周の四分の一、およそ100メートルと少なすぎるのでこの100メートルの間に操作方法を身につけることなんて不可能。
僕は故障するんじゃないかと思うくらいすごい音を立てて苦しそうに動く教習車に乗りながら自分に何度も言い聞かせた。
「これは記念受験や」
と。
慣らし走行が終わり、スピーカーから「それでは本試験スタート」と鳴り、最初の課題の一本橋に向かった。にしてもさっきからうっせぇなこのバイク
停止線で一時停止し、左右後方の安全を確認し、再発進。橋に乗りあがれるように慎重にスピードを落として橋に乗った。
あれ、あれ、あれれれれれ~~~~~
ガタンッ
橋から落ちた。試験終了である。やっぱり
溝に挟まったので何とか起こそうとすると、バイクが
ヴォォォォォオオオオオオオンンンンンンンンンンン
と大声をあげた後
プシュ~
と息絶えた。
「○○さん!バイクに触らないで!!!!」
とスピーカーから怒声が聞こえたので颯爽と試験場から出ていき、試験官の元へ。
試験官が一本橋に横たわったバイクの死骸を処理した後、試験官室に戻ってきて書類をまとめてため息を一つつき、こう言った。
「アンタバイク乗ったことないでしょ」
僕はハッキリと
「はい!!」
と答えた。
呆れながらもいろいろとアドバイスをもらったのだが、頭の中である2文字が鳴り響いていたので何も聞こえなかった。
とりあえず僕は試験場内を1速でずっと走っていたらしい。どおりでバイクがうるさかったわけだ。「バイクが壊れしケガするからやめてね」と言われた。
そのあとの高校生の走行を見た後(結構いいところまで行っていたのだがやはりゴールにはたどり着かなかっただった)、次の試験を予約してすぐに家に帰り、誰もいない部屋でずっと頭の中で鳴り響いていた2文字を叫んだ。
「無理!!!!!!」
むりむりィ!!!!いくらなんでも記念受験過ぎだよ!!!!あんなあっけなくしかも無様に終わっちゃったら次受ける自信ないよ!!!!
さすがにどこかで練習しないと10回以上受けるという地獄が現実味を帯びてくる。なんとかしないといけないのだが、試験官にあの時アドバイスを受けておけばよかったと今さらながらに後悔。諦めて次回の試験も今回の失敗だけを頼りに受けることにしたのである。
一体あと何回で合格できるのだろうか・・・
ちゃらら~~~~ん(ここでEDのテーマが入る)
ちゃらら~~~~ん(ここでOPのテーマが入る)
2回目の受験の予定日。
前回記念受験をかましてどうしようかと思っている間にもう次の受験日がやってきたのである。
しかし前日に徹マンをしたせいで試験時間に間に合わず、会場に着いた時には試験が始まっていたため受けることができなかった。良かったっちゃよかったかも
諦めて帰ろうとすると、前回試験官だった人が偶然いて、声をかけてくれた。
「あ、前回すごい運転した人だね」
とりあえず「練習する場所ってないんですか」と聞くと、耳寄りな情報を下さった。
免許取得者の大半が通う自動車教習所以外にも届出教習所というのがあって、運転の練習ができる場所があるようだ。
これはすげぇいいことを聞いた、と聞いたその帰り道の途中で届出教習所に連絡を入れ、その翌日に教習の予約を入れた。
一通りバイクの乗り方、そして試験コースの攻略方法を教えてもらい、これはもう絶対合格したぜと意気揚々に次の教習の予約と次の試験の予約を済ませたのであっら噛んだ
そして試験日。この日はやたら人数が多く、10人以上はいた。推定台湾人、高校生のやつ、前回一本橋から落ちたオッさん、残り怪しいおっさん。
今回の試験官は前回と違って左手に数珠をつけた、いかにもイカつそうな試験官であった。しかも話によると白バイ出身とのことである。これはハズレの日だな・・・
そして一人目の試験が始まった。一人目は彼女を連れて試験を受けに来たチャラそうな男性である。こういういちびってるのは早く落ちてどっかいけと思っていると、スラロームが終わった段階で試験終了になっていた。ざまぁみろ
次は前回一本橋で瞬殺されたオッさんである。スラロームが終わってさあ一本橋、今回は渡りきれるか、と見ていると無事渡りきった。おっ、と思っていると次のコースに行くための小回りで転倒して試験終了。
次は怪しいおっさん一人目である。2回コースを間違え、そのあと普通に転倒し試験終了。何がしたかったんや
次は高校生の小型MTの試験である。この高校生の走りをみてどこでウィンカーを出したらいいか、安全確認をしたらいいかを確認することにした。
数回ここに受けに来ているようで(チラッと見えた受験票には6回ほど不合格のハンコがあった)、慣れた手つきで次々と課題をクリアしていき、坂道発進の課題を終えてこれはクリアするんじゃないかと思ったのだがここで試験終了である。坂でアクセルを回していたのでそれで一発アウトだったのだろう。
いよいよ僕の番である。操作方法は教習でもうバッチリである。1速で試験場内を駆け抜けることはもう無い。慣らし走行が終わって本試験に入り、いざ一本橋。難なくクリア。次はS字クランク、L字クランク、これは余裕でクリア、さあ次は坂道発進だ、というところで一時停止の看板で止まったところで試験終了を告げられてしまったのである。
一体どこが悪かったのかわからないまま試験場に戻って試験官の元へ。悪かったところを聞くと、
小回り不履行 | -5 | 3回 | -15 |
安全確認不履行 | -10 | 1回 | -10 |
加速不十分 | -10 | 1回 | -10 |
ということであった。安全運転と言ってチンタラ走ってたらいいというわけでは無いみたいである。加速できるところではしないといけないみたいだ。
自分ではいけたと思っても実際はそうでは無いということろがめちゃくちゃあるのが、この一発試験の難しいところなのだろう。しかし前回の記念受験と比べて今回は大金星レベルで進んだので僕の中では「よくやった」と思っているのである。
あと、意外と試験官がやさしかった。
次の試験の予約を入れてご褒美に寿司を食って帰ったのである。
ちゃらら~~~~ん(ここでEDのテーマが入る)
ちゃらら~~~~ん(ここで普段と違うOPのテーマが入る 最終回だから)
そのあと普通にもう一回落ちた。
次で受からなければ学校が始まってしまうので、受験する時間がとれなくなくなってしまう状況になってしまった。
運命の試験日。今回の試験官は二回前のいかつそうな試験官である。いかつそうな見た目に反して意外と気さくなおっちゃんなので、今回なら合格しそうだ。
一人目の小型MTのおっさんが一本橋で落ちて、高校生の番である。なんとこの高校生、見事完走し合格した。
僕が見る限りでは安全確認するべきであろう場所を4回ほどしていなかったので、よっしゃ落ちたザマーミロと思っていたのでもっとびっくりである。
意外とこの試験官は採点が甘いのだ。これはなおさら落ちることできないやん・・・と思っている間に僕の出番である。
前回止められたところを超え、坂道発進に到達することが出来た。教習ではエンストすることが多かったのでここで失敗すると終わりだ、と慎重に課題を終わらせ、最後は急制動である。これも成功、あとはもうスタート地点に戻るだけである。ここまでの間にスピーカーは沈黙を守ったままである。そしてついにスタート地点に、つまりゴールにたどり着いたのである。
勝ち誇った顔で試験官の元に行くと、試験官が、
「合格したと思う?」
と聞いてきたので、
「はい!!」
と答えた。
こう答えると試験官の顔が曇りだした。
「いや、全然足らへんよ?」
えっ....
次にダメだったところを淡々と説明していたのだが、僕はほとんど何も聞いていなかったのである。
(おちてもうた。。。。)
そして全部説明し終わったところで試験官が
「自分の採点は厳しくしないとあかんぞ」
と言い、終わった・・・と思い受験票をもらおうとしたら、
「なんやお前、欲しいんかコレ」
と言われた。
え?
「え?不合格じゃないんですか?」
「じゃあ持っていっていいよ。持っていくか?」
「いや、持って行きたくないです。お願いします」
「じゃあ上で待っとけ」
やった~~~~~~~~!!合格した!!!!
久しぶりに受験しての合格の喜びを味わった。
合格者は視力検査をして手続きが終わるまで待たないといけないのだが、これに長い時間待たされたのである。こんなに待つんだったら早く言ってくれよ・・・・
3時間待ってやっと合格後の手続きの説明をする警察官がやってきて説明を始めた。
警察官と高校生の会話を聞いていてわかったのが、この高校生は仲間内で暴走するためにその仲間に免許を取らされたらしい。世界が違う・・・
ちなみに合格したら取得時講習という講習を受けなければいけないのだが、その予約が最短で2週間以上空く上に応急救護処置講座も含めて15000円以上するのである。どんだけ金とんのや。あいつらはドロボーなのだ。
そんなこんなで俺は小型二輪MT免許を取ることが出来たのである。
かかった費用 | |||
試験費 | 4,500円 | 4回 | 18,000円 |
教習費 | 4,000円 | 4回 | 16,000円 |
取得時講習 | 12,000円 | ||
応急救護処置講座 | 3,000円 | ||
免許交付手数料 | 2,050円 | ||
電車賃 | 10,000円 | ||
合計 | 61,050円 |
だいたい小型二輪MTの教習所の相場が11万程度なので、結果的に5万円おトクに取得することができた。調べた最安でも8万円近くなのでどの道おトクである。
興味のある方はやってみてはいかが(激しくダルイのでオススメしない