朝の阪神高速でベスパが壊れて死にかけた
先週のこと。
早めに大学に行って試験勉強をしようと思い、朝5時ごろに家を出て、バイクで高速を走っていた。
兵庫県に差し掛かろうかというまさにそのとき。
俺のベスパに異常が発生した。
ブルンブルンブルルるるるるぷすぷすぷすん・・・
エンジンが急停止し、後輪がロック。俺はスリップして半回転した後、なんとか転倒せずに停まることができた。後続に車が一台いたが、俺が異常を感じた瞬間手を挙げて合図していたのと、朝早いということもあってそれ以降車は見えず、なんとか安全地帯に避難することができた。
もしもいつも通りの時間に出発していたら確実に事故渋滞を引き起こしていただろうし、転倒して轢かれていたかもしれない。つくづく俺は悪運が良すぎるのである。
つい最近もスマホホルダーが取れてスマホを高速道路上に落として、命がけでスマホを拾ったことがあったのに、この様である。
とりあえず運よく近くに高速入り口があったので、逆走し、料金所のインターホンでバイクが壊れたかもしれないというと、パトロールカーを呼ぶので安全なところで待っててください言われた(逆走すんなとも言われた)ので、待つこと20分、あの黄色い車が来た。
パトロールカーの人「僕ら何にもできないんでご自身でレッカー車とか呼んで下さい」
YOUは何しにここへ?
とりあえず保険会社に電話してあかつき号を手配すると、パトロールカーの二人は
「それじゃっ」
と言って帰っていった。ほんとに何しに来たんだ?
待つこと50分、あかつき号が来た。
中から作業員が「あーあ、またアホが車壊しやがって」みたいなかったるい態度で出てきて、バイクの積み込みを始めた。
積み込みが終わると、作業員は車に乗るよう合図した。
車に乗って走ること数分後、作業員が話しかけてきた。
俺はタクシーで運転手が話しかけてきたら「黙って運転しやがれクソ野郎」と運転席を蹴りモノを投げつけ唾を吐くタイプだが、こういう人としゃべる機会というのは滅多にないので話をした。
あかつき「学生さんですか?」
僕「はいそうです」
あ「へー学校なんですね。夏休みまだなんですね」
僕「もうそろそろですね。今日試験で、早めに学校行って勉強しようと思ったらバイク壊れてこの様です」
あ「はぁーそうなんですねー」
僕「社会人になったら夏休みなんかないですもんね」
あ「僕らは夏休みどころか、お盆、正月休みすらありませんよ。正月とか大型連休は滅多に運転しない人が調子乗って運転して事故ったりとかホントによくしますから。むしろ稼ぎ時です」
僕「じゃあいつ休むんですか?」
あ「申請したら休めるんで休みたいタイミングがあれば休みますね」
僕「最近いつ休みましたか」
あ「覚えてないですね。今日も3日寝ずに働いてますね。ここ来る前に一件レッカーして現場戻ってきたタイミングでこの依頼があったんでここに来ましたわ。またこの後一件依頼があるんでレッカーし終わったらまたそこに向かいます」
僕「休まないんですか?」
あ「うーん、僕らは歩合給でやればやるほどお金もらえるんでできるだけ休みたくないんですよね。もう今は飯食べる時間も惜しいんで一日一食ですわ」
僕「はぁ」
ここであかつきの携帯電話が鳴った。
「もしもし。はい。はい。・・・・はぁ!?今ですか?!今レッカーしてるんで今は行けないっすわ。・・・はい。了解です」
あかつきはおもむろに電話を切った。
あ「今の先輩っすわ。ムカつくわー。あ、僕普通に先輩でも思ったこと言っちゃうタイプなんで」
僕「...なんか無茶な要求でもしてきたんですか?」
あ「迎えに来いっていう連絡ですわ。行けるかっつーの。こっちは仕事中やのに。いっつも無茶な要求ばっかしてくるんですよ」
僕「休みもないし上司は無茶苦茶でホント大変ですね」
あ「そうですよホントに。あなたも社会出たらわかりますよ。頑張ったところでそれほどのもんが手に入るわけでもないし、ただしんどいだけだし。『世の中ってこんなに冷めてるんだなぁ』って」
僕「はぁ」
話しているうちに降ろすポイントに到着した。
安全な場所に停車した後、数枚の書類にサインし、最寄りの駅までの道を案内してもらって俺はあかつきと別れた。
社会人になると生きるのって辛くなるのかなぁっておもった。
ちなみにベスパはエンジンオイルを混合するチューブが取れて全部漏れたためエンジンが動かなくなったのが原因だった。
そういや朝バイクの下ぬるぬるやったなとは思ったが、気づかんでしょ、んなもん。